アルゴ
アルゴを見てきました。
あらすじは、以下の通り。
1979年にイランで革命が起こり、国王であったパーラヴィーはアメリカに亡命をする。国王として暴虐の 限りを尽くしてきた国王を受け入れたことに反発したイランの学生活動家らがアメリカ大使館を襲撃する。
襲撃にあった大使館の裏口からなんとか逃げ出し、カナダ大使の家に逃げ込んだ6人のアメリカ大使館員を救出するため、CIAのトニー・メンデスが考え出した方法とは、「アルゴ」という架空のSF映画をでっち上げカナダ大使にかくまわれている6人を、アルゴ撮影のためイランにロケハンに来ている撮影スタッフに仕立て上げるという作戦だった!
面白かったです。
ハラハラドキドキ。手に汗を握るシーンがクライマックスに向かってこれでもかこれでもかと続いて、最後の開放感はスゴイです。
ただ、素直に「あー、面白かったなぁー」と思えないところもあります。
映画が終わって、出口に向かっていた時に、後ろにいたカップルの女の子の方が「面白かったけど、でも、もともとアメリカが悪いんでしょ」みたいなことを言っていて、その通りだな、と思うと同時に、でもこの映画はそこを見るものじゃないんじゃないかなとも思ったりもしました。
そこを見るものじゃないというのは、これは、主役のトニー・メンデス個人の物語としてみるべき映画だろうという印象があるからです。
トニー・メンデスはCIAの職員であり、まさにアメリカがそういうことになってしまった元凶みたいな組織に所属する人間ですが、彼個人としてはイラン方面のことに関しては個人的に何の関与もしていない(彼の専門は人質の奪還です)。イランとのかかわりはないとしても、自分の職務として助けなければいけない人間を助ける。
そして、その助けるという意識は、彼が実際にイランに入り作戦を進める途中で、アメリカ本国から作戦の中止と帰還命令が下ることによって職責でもなくなり、彼個人の意思となります。
そういう方向でみると、おー、頑張れメンデス!となります。
それでも、やっぱり、うーむと釈然としないところが残るのは、なぜかと考えると、思うにこの映画、後日談が長すぎるのです。
史実なので言いますが、6人は救出されます。
救出されたのち、アメリカ大使館にはまだ、人質となっているアメリカ人がいるから、この脱出作戦はカナダ政府が独自に進めた作戦だったという話を作ったとか、CIAはこの作戦を単独で遂行したメンデスに最高位の「スター勲章」を授けたけれど発表することができないので、1994年にクリントンがこの作戦を公にするまで取り上げていたとか何とか、アメリカ人ではない日本の観客には心底どうでも良い話が続き、そこでこの映画に対するある種の方向付け、アメリカ本国からの命令も無視して作戦を決行すれば、最終的にはアメリカから表彰されますよみたいなものができてししまい「でもさ、マッチポンプだよね結局」みたいな感想になってしまうのではないかと思うのでした。
個人的には、最後の10分くらいを全部省いてしまって、どうしても後日談がしたいなら最後の飛行機のシーンの後で、控えめに文字でやれば良いと思いました。
そんな感じです。
来週は、インドネシア映画!
ブルースリー以来の衝撃ではないかという噂のある「the raid」を見に行こうと思っております。
ではでは、アデュー
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