「得心」 前野狼騎さん
小説や映画は物語なので、どんなものでも、よほどひどいものでなければ楽しむことはできますが、評論ものは当たり外れが多々あって、途中で放棄するものも結構あります。
だが、最近読んだ二冊は、全く得心を得たものでした。
一冊めは「反知性主義」森本あんり(新潮選書)です。
反知性主義と言うのは、日本で言うところの、テレビばかり見て本を読まないとか、歴史を勝手にねじ曲げている人達のことではなくて、アメリカのキリスト教から派生したイデオロギーだという言質が書かれています。
これにはビックリして、大いに納得しました。
二冊めは「国家と犠牲」高橋哲哉(NHKブックス)ですが、また今年の夏も靖国が話題になるでしょうが、要するに日本の権力者が言う英霊というのは、「犠牲」なのだと。
つまり、犠牲になった人、それを強いらた人を褒め称えるシステムこそが戦争を美化し、「殺してはならない。殺させてはならない。」という本来の人の叫びを圧殺しているのではないか。
死者を褒め称えるというのは、一体どういうことなのかという根本的な問題を久し振りに考えさせた本でした。
では
白魚のひとかたまりの目の力
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おたよりありがとうございました。
宗匠の俳句を読んで、井伏鱒二の詩を思い出しました。
それはこんな詩です。
つくだにの小魚
ある日雨の晴れまに
竹の皮に包んだつくだ煮が
水たまりにこぼれ落ちた
つくだ煮の小魚達は
その一ぴき一ぴきを見てみれば
目を大きく見開いて
環(わ)になって互にからみあっている
鰭(ひれ)も尻尾も折れていない
顎の呼吸するところには色つやさえある
そして水たまりの水底に放たれたが
あめ色の小魚達は
互に生きて返らなんだ
すてぱん
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