「行方不明」 北川司さん
静か夜やヤモリの行方は不明なり
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おたよりありがとうございます。
夏休みに入った愛ちゃんに出された数ある課題のうちの一つに
「身近にいる老人の様子を観察し、その身体的、精神的な特徴を指摘せよ」
とかいうのがあるそうで、このごろ彼女、笑いながらわたしを「観察」している。
「でも、先生、そんなに老人っぽくないからなあ」
とは言ってくれるが、自慢ではないが、入れ歯、白髪，頻尿・・・
むろん私は押しも押されもせぬ老人である。
さて、これが「精神的」にあたるかどうかはわからないが、ヤモリのみならずあらゆるものが「行方不明」になってしまうのもまた、老人を特徴づける一事象である。
私が探せば、それはない！
とは勝田氏の名言であるが、要は、気がせっかちになって、探し物を、そのはじめに戻って探す、ということをしなくなるせいなのであろう。
せっかちこそが老人をもっとも特徴づける精神的事象なのかもしれない。
それにしても、それにしても、あの私の家の鍵はどこへ行ってしまったのでしょう。
すてぱん
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