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「《桐島》を観る」 北川司さん

 

自分の運命を自分で切り拓くことができる人とそうでない人たち。
といっても高校生だから、その意思はまだ弱かったり芽生えの段階だ。

最後、画面が白くなり、野球の練習の音がしつこめに続く。
男前の元野球部(名前失念)は野球部に復帰するや否や。復帰するでしょう。
なぜなら彼は屋上で、わざわざ踵を返してカメラの部品をカントクに返しに行ったのだから。

相手を本気で思いやるシーンはそう多くない。
例えば、カントクが吹奏楽部部長に場所譲って撤収する(隕石の)ところ。
あとカントクがめげそうになった時、励ますカントクの相方(こいつのとぼけ顔はなんともいえん。)。

以上、冒頭の切り拓く組は思いやる心と妙に一致しているのに気付いたのは、そう、画面が落ちて野球の音もようやく終わったあとだった。

ついでに言うと他の連中は後者の部類で、桐島がいなくなったというある種の困難、障害にとまどったり振り回されたりしている。
彼ら彼女らには他人を思い遣る余裕はない。
大体、桐島は学校どうすんの?とか家庭で何かあったん?と心配するのが普通だろ。
監督はその辺わざとスルーしている。

 

 

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おたよりありがとうございます。

映画の細部についてはほとんど忘れてしまっていますので、なにも言うべきことはありません。
ただ、当時の女子高生たちに聞いたら、主演の男優をお目当てに映画を観に行ったと答えたので、
――なあるほどぉ、そういうもんなんであるんだなあ!
といたく感心したことを覚えております。

 

すてぱん


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