「春耕」 北川司さん
春耕の畔の曲がりや己が道
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おたよりありがとうございました。
勝田氏の車に乗っているとき、郊外に広がる耕地、休耕地、耕作放棄地を目にしました。
彼によれば、高温多湿の日本の土地というものは、耕すことを怠れば、すぐにも雑草がはびこり、そして根を張り、ほんのわずかの間にただの荒地へと戻っていくものなのだということでした。
私たち、気がつけば還暦を越え、言うなれば、皆、曲がりなりにも己がひと世をほぼ終えたような者ばかりなのですが、それでも、日ざしがあたたくなり、花が咲き鳥が歌えば、冬の間に硬くなった己が田に鍬を入れようと腰を上げるのも、これまた春の功徳というものかもしれません。
己が田を《耕作放棄地》にだけはしたくないものです。
すてぱん
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