凱風舎
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「これが作者だ!」   阿蒼海

 

 

  世のこともどこ吹く風ぞ天始め         歩生

  束の間の青空見せて梅早し           狼騎

  大野より吹く風山を眠らせて           歩生

   早梅のまだあるじなき儚さよ          狼騎

   大泣きをほれ見たことかと冬の梅       夕凪

   関東は空っ風吾には隙間風           狼騎

   世の中にをのことをみな山眠る         捨般

   早梅や恋占いに導かれ              狼騎

   送信者不明のメール師走かな         游鉄

   ヤカン持つ重さ確かに年忘れ          歩生

   酔いしれて除夜の蘊蓄繰り返し         歩生

   鳥獣の鳴声途切れ山眠る            狼騎

   うとうとと師走(しわす)床屋(どこや)で句作かな         正人

   風の音に寝返り打つか眠る山          狼騎

   ほどけゆく飛行機雲や山眠る          狼騎

   山眠るさらさら越えの夢うつつ          狼騎

   スマホより演歌流るる年の鍋           夕凪

   落石の後の静寂山眠る               狼騎

   冬の梅 小枝が先に紅みたり           正人

   雪しまく北北西の風しまく               狼騎

   寒風に足取り軽く初バイト              夕凪

  老梅のもつともはやく咲きにけり         捨般)

   鉄柵の窓を覗けり早き梅              歩生

   初夢や風の便りの街に来て           歩生

   風さそう桜橋から初日の出            歩生

   早梅や友の二階は日の射して          捨般

   独り寝や「北風小僧」を口ずさみ         歩生

   秘密保護熊の行方や藪の中           游鉄

   虎落笛六甲あたりは節が付く          歩生

  木霊(    こだま)して「お元気ですか」と眠る山        正人

   十二月八日も山は眠りゐき           捨般

   早梅や母の着物を引き継ぎし           夕凪

   寒風を二つ返事に出て行きぬ          捨般

   じじとばば声かけあって風囲           夕凪

   夫の句を逆と選びし年始め            歩生

  魚港市(    ぎょこういち) 風にあらがふ凍てかもめ         正人

   麓には石切りの跡山眠る             狼騎

   人去りて寺町通り氷雨かな            游鉄

   風向きをしかと見極め年始め          狼騎

   熱燗の銘は赤兎馬狼騎舞ふ           游鉄


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