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「 “卒業”面接」 邑井 雅和さん

最近、看護スタッフ採用のための面接をよくする。つまり、人物査定という賭けに身を投じているわけである。しかし、見ず知らずの人間を身内にするかどうかを決定する判断材料が、短時間の面接と履歴書だけというのは賭けにすればかなりのハンディである。
履歴書には学歴を列挙してあるが、県外の高校や専門学校だと知的レベルがまったくイメージできない。職歴にしたところが、前職を辞めた理由を問うて「結婚」や「出産」「育児」と言われたらハイそうですかの世界である。「嫌な先輩にいじめられ続け限界だったからです」とか「医療ミスを繰り返して解雇されました」なんて素直に陳述する者は皆無である。趣味・特技の欄には読書、スポーツ、音楽鑑賞と三種の神器のごとく全員もれなく書いてある。しかし、「井伏鱒二のユーモアにはほとほと脱帽です」とか「肩の力を抜くために太極拳に血道を上げています」など気の利いた発言はついぞ耳にしたことがない。
五里霧中を暗中模索してなんとか相手の全貌を露わにしようと躍起になっているだけだ。
こうゆう状況下で唯一の手がかりは「消しゴムのカス」である。面接の前に全員に質問シートを配り、鉛筆書きしてもらうのだが、その時に出した消しゴムのカスを受験者がどう処理するのかを見るのである。この作戦は最初から意図したことではなく、あるとき「消しゴムのカスが出たんですけど」と言った受験者がいて、「なるほど、これはモノサシにできる」と思ったのがきっかけだった。「カスをどこに捨てれば良いですか?」と質問する者は〇、机の一か所に集めてある者や自分のティッシュで包んで持ち帰る証拠隠滅型はまずまず。質問シート上がカスだらけだったり、床下に払い落として知らん顔している者の面接は重箱の隅をつつくことにしている。これまでの経験でこのモノサシは信頼がおけることがわかったが、できるならもう一つ二つモノサシが欲しい。たとえば、質問シートに「卒業欄」を作って、「ブランコ」「バイク」「麻雀」「寺町」などと記載してもらうというのはどうだろうか。その結果として、消しゴムのカスの処理が〇で、卒業欄には「留年」とか「途上」と書いてあれば即採用するのだが。

 


「面接」の採用側に何度かまわりましたが、あんな短時間で判断するなんて本当に大変です。消しゴムのカスが判断材料だったとは!そういうことで人柄ってでるんですねぇ。。。

運営スタッフ より

 

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