【凱風俳句】 「蝉鳴く夜明け」 北川司さん
一匹の蝉鳴く夜明け四半刻
えー、皆さんは最近夜明けに起きてたことはあるでしょうか。私は二日前経験しました。仕事を終え、家で缶ビールを手にした時、モーツァルトの40番といったら嘘くさいけど、一匹の蝉が奏で始めたのです。若々しく、そして私のために。かどうかはともかく。 息もつがずとはかくなるや!およそ30分。それはピッタとなきやんでしまいました。見事に。と私は思っていたのですが、後で聞くと嫁さんも下の娘も「セミのソロ」を聴いとったというやないですか。なんや、わいだけへのもんやなかってんな。と妙にがっかりしました。彼女たちの推理によると、急に鳴きやんだのは、鳥に食べられたからやとか、どっか餌さを探しに行ったんやとか、形而上的回路はミジンもなく極めて女性らしい会話がなされておりました。是平和成哉。
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【凱風俳句】への投稿ありがとうございます。
こちらも蝉が鳴きはじめました。
例年より遅い鳴き出しですし、数もまだいまだ盛りならず、です。
近頃の大学生は
五月蠅
と書くのではなく
八月蝉
と書いて「うるさい」と読むそうですが、こちら、ここ一週間ばかり、蝉よりも隣家の解体工事の音の方がうるさくて閉口しております。
蝉の声が岩に沁み入るほどの「閑かさ」が恋しうございます。
蝉、といえば 曾禰好忠という人に
蝉の羽の薄らごろもになりにしを妹(いも)と寝(ぬ)る夜の間遠なるかな
なんて歌もありました。
蝉の羽のように薄い夏ごろもに変わったというのに、あのひとと肌を合わせて寝る夜も間遠になったなあ。
(蝉に羽のように薄情な・・・)
てな感じでしょうか。
いずれ、私には関わりなき事なれど、なにがなし好きな歌ではあるのです。
すてぱん
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