凱風舎
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湿気

 

 

  海の底です しずかです
 なんだかねむたい時間です

 だれかが電報うっている
 あぶくにくるんで一字ずつ

 

    ― 藤田圭雄 「魚の子守うた」 ―

 

 太平洋上を台風がゆっくり西に進んでいる。
 夏休みの終り。
 雨上がり、気温はさほど高くはないが湿気が肌に貼りつく。
 たぶん、台風が抜けるまでこの湿気は続くのだろう。
 けれども、とりあえず夏休みは終わったのだ。

 それにしても、私の顔をべたつかせるものは何だ。
 温帯湿潤気候。
 日本。
 顔を洗っても洗ってもすぐに身にまとわりつくこの気持ち悪さ。
 けれどもそれは、本当は私から沁み出たものだ。
 

 秋風はいつ吹くのか。
 この肌はいつ乾くのか。
 いつ私は一人になるのか。


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