明後日
し 仕合せの明後日。
― 島崎藤村 「いろはがるた」―
選挙はあさってだ。
「あさって」といえば島崎藤村の作ったいろはがるたに今日引用した言葉がある。
仕合せの明後日。
思えば、妙な言葉だ。
けれども、きっと明治、大正、昭和と生きたこの文豪の言葉は正しいのだ。
たぶん明後日の選挙は
≪しあわせな明日≫
あるいは、
≪よりよい明日≫
のための選挙ではあるまい。
それはまちがいなく
≪明日が今日よりわるくならないための選挙≫
なのだろう。
だからこそ、なおさらに投票しなければならないのだと思う。
なぜなら、そうすることが私たちの
≪あさって≫
のためだから。
たとえ、その≪あさって≫に私たちが生きていないにしても、ならば、なおさらに投票に行かねばならない。
明後日のしあわせを思うことは明日の幸せを願うことより大事だ。
たぶん、わたしたちはみな「あす」のことばかりを考え過ぎるのだ。
けれども、きっと求めるべきしあわせはいつだって「あさって」にあるのだ。
人が生きるとは、実はそういうことではなかったのか。
それを忘れている人たちがいる。
「明日」よりも少し遠い「明後日」。
それをよりよいものにしたい思う人が多い社会はきっと住みやすいのだ。
そう思って投票しようと思う。
ちなみに藤村の「いろはがるた」の『の』の項は
のんきに、根気。
----------------------------------------------------------------------------