パン
何言ってんだ ふざけんじゃねえー
牛乳が飲みてえー
- 忌野清志郎 「Love me Tender」 -
なんとなく妙だ。
雰囲気がちがう。
スーパーやコンビニに全く物がないというのが異様だ。
その異様を人々は感じている。
私のような生活から遠い者まで感じるのだ。
いわんや家族を抱えている人々をや。
一日なら祭りだが、いつもと同じじゃないことが三日続けば人は不安になる。
今日で6日目だ。
ガソリンもないらしい。
余震もおさまらない。
震度3なぞ、日常茶飯。
昨夜も今日も震度4。金魚の水が北斎の『神奈川沖浪裏』みたいになる。
そのうえ何よりも何よりも福島の原発事故のこと、重くのしかかっている。
ヨウ素の入ったうがい薬が売り切れたらしい。あんなの飲んだら毒なのに。
雨合羽もない。(これは正解かな。)
街は暗い。停電のところもあるが、そうでなくても節電で暗い。
家の近くのいつもは開かずの踏切がめったにしまらない。電車が通らないのだ。
私も塾を開いて子どもを教える気にならない。
一旦緩急あったとき、子どもが親と一緒にいないという事態がいやだと思うのだ。
目に見えない重苦しいものが今の首都圏をおおっている。
というわけで、私は今日チューリップを買ってきた。
おかげで部屋はあかるい。
これで、あすの朝パンとコーヒーなんかがあれば最高の朝食みたいなんだが、生憎この一週間パンにお目にかかっていないのだ。
今日の引用は杉本君たちが中学生だった頃だから、1980年代の終りだろうか、RCサクセションが原発建設に反対して作って即発売中止になったアルバム(たぶん『カバーズ』というやつだったかなあ)の中の一曲。もちろんプレスリーの「Love me tender」の曲に合わせて歌うんです。 (ちなみに、あの頃、放射能で汚染された草を食べた牛の牛乳は危ないという話があったんだな)
杉本君たちとカセットを聴きながらよく歌ったもんです。
全く
なにやってんだー ふざけんじゃあねえ 放射能とめろー!
ですぜ。
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