買い過ぎ
とても賢く、とても優しかった黒白柄の猫、ハナちゃん(2003-2013)の思い出に、この本を捧げる。
― 松浦寿輝 「川の光 2」―
ふだんビンボーな人が思いもかけないお金を手に入れたとき、気をつけなければならないことがあります。
それは、気が大きくなってしまうことです。
そういうとき、行ってはいけない場所、というのがあります。
子どもなら、駄菓子屋さん。
女の人なら、服屋さん。
食いしん坊なら、レストラン。
ついつい、買わなくてもいいもの、食べなくてもいいものに手が出てしまいます。
本屋さん、がアブナイ人もいます。
(これは、まあ、私のことなんですが)
特に、月曜日、はいけません。
なにしろ、日曜の新聞に出ていた書評を読んだ翌日ですからね。
この年になると、まあ三日もすれば、読んだことのたいがいは忘れてしまうので、書名はだいたい消えております。
著者とか出版社だけを、かろうじて覚えていたりすることはあるのですが、どうかすると、それさえ消える。
要は、そんな私の覚えていることといったら、
「 こないだ、なにか、読みたいと思った本があったよなあ」
ってことだけです。
「 たしか、桜のことについて書いてあるとか書いてあったが・・・」
まあ、こうなったらたいがい、ダメ、としたものです。
縁がなかった、と思うほかはない。
でも、まあ、一万円札が一枚余計に財布に入っていたりすると、ついつい、目についたそこらにある本をついついまとめて買ってくる、などという仕儀にあいなるわけです。
さて、今日は、なにしろあの「出来レース」の翌日です。
なおかつ、月曜日です。
雨が降っているし、寒いし、本来なら、家にこもっているはずなんですが、もとよしさんの絵を見に外に出てしまった。
となれば、寄りますわなあ、帰り道、本屋さんに。
で、買いますわな、本を。
書評の本、プラス、目についた本。
でも、まあ、これはどう見ても、買い過ぎですな。
ちなみに、今日の引用は、その中の一冊の中表紙の裏に書かれていた献辞。
猫への献辞のついた本だなんて、期待できそうですよね。
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