凱風舎
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自分の良心と仲良くやっている人の顔は、いつ見ても美しいものである。


― ソルジェニーツィン 「マトリョーナの家」 (木村浩 訳)―


 

収容所帰りの「私」の下宿先のお婆さんマトリョーナのひかえめな微笑を浮かべた顔を、ソルジェニーツィンはそう書いている。

ああ、そうなのだな、と思う。
「自分の良心と仲良くやっている人」、そんな人の顔はきっと美しいのだろうな、と思う。
そうして、わたしもそんな顔になれたらいいのに、と思う。

夏以降、私の心の深いところにはわけのわからない重いものがずっとわだかまっている。
それをもたらしている元凶が実は今の総理大臣だということはわかっているのだが、そんな人を選んだのが今の日本国民だということが、ひどく私の思いを重くさせる。
生徒たちがいないとき、私は陰鬱だ。
たぶん新聞なんぞ読まずにいれば、もっともっと快活でいられるのだろうが。

「善き人」のことを考えようと思う。
そうして、自分の為すべきことをしずかに為していこうと思う。
たぶん、邪悪なものに対するのはそうするしかないのだ。

 

 

 


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