みどりの日
王、何ぞ必ずしも利を曰(い)はん。亦(ただ)仁義あるのみ。王は何を以て吾が国を利せんと曰い、大夫は何を以て吾が家を利せんと曰い、士・庶人は何を以て吾が身を利せんと曰いて、上下交(こもごも)利を征(と)らば、而(すなわ)ち国危からん。
王様はどうしてそう利益、利益とばかり口になさるのです。(国を治めるのに)大事なのは、ただ仁義だけです。もしも、王様がどうしたら自分の国の利益になるのか、大夫が大夫でどうしたら自分の家に利益になるのか、役人や庶民もまた自分の身に利益になるのかとばかりいって上のものも下のものも、だれもが利益を貪(むさぼ)りとることだけしか考えなければ、国家は必ず滅亡してしまいます。
― 『孟子』 (小林勝人 訳注)―
おお《みどりの日》か、と今年も毎日新聞の題字の色を見て思う。
ところが、その横に、なんともまあさわやかではない見出しが載っている。
《原発輸出へ優先交渉権》
いったん事故を起こせば、国土を損ない、国民の生活を根こそぎにしてしまい、いまだに自国でその始末すら出来ぬものを、海外に輸出しようとすることに、はずかしさを感じない国のどこが「美しい」のか。
首相が「トップ・セールスをやって来た」、などとイバっているような国に「仁義」を求めるべくもないが、それにしてもこの国が原発を売り込むとはどういうことなのか。
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