体温計
やは肌のあつき血潮にふれもみでさびしからずや道を説く君
与謝野晶子
いやはや、この頃の体温計というのはすごいですな。
じかに肌に触れないで、おでこの辺りにほんの一瞬かざすだけで体温を測定できるらしい。
看護婦さんが待合室にいる赤ん坊のおでこにさっとかざしただけで、ピッピーと音が鳴って、赤ちゃんはニコニコ笑っている。
ははあ、赤ん坊には実に便利なものだ、と思っていたら、なんのこともない、私もやられました。
ピッ。ピーッ。
37・9℃
一瞬です。
しかもまったく肌に触れないんですぜ。
それで計れちゃう。
でもね、私、思いました。
あんた、そんなんで、いいんか!
私、体温計に意見したくなりました。
与謝野晶子女史の歌じゃないですけど、体温計というものは、脇の下の
「やは肌のあつき血潮に触れ」
てなんぼ、ではありますまいか。
(まあ、私のまで「やは肌」とは申しませんが)
それをなんですか。
おでこにかざして
ピッ。ピーッ。
で終りだなんて、そんなんでいいんですか。
いいんでしょうな。
たいへん楽だ。
もっとも、学校を休みたいばっかりに、体温計を摩擦して熱のあるふりをする、なんて小学生の必死のわざは使えませんが。
というわけで、体温測定の時間だけは速くなったみたいなんですが、年のせいですかねえ、わたしの風邪の方、一向治らない。
ヨワッタモノです。
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