六月の憂鬱
あの日もあなたを好きだったのに
あんなにも哀しかったあの日
あの日も私は私だったのに
あんなに苦しかったあの日
あの日も空は青かったのに
あんなにうつろだったあの日
― 谷川俊太郎 「六月のうた」 ―
今日もよいお天気。
梅雨なのに、空気は乾いている。
日本には「建武の新政」という時期が二年間あった。
その後に「南北朝時代」というのがあった。
なぜそういう時代がやって来て、そうして、その時代がどういう時代だったのかを書いてみようかと思ってみたが、そんなことやってみても虚しいからやめた。
今の日本はそんなことをしてまで語るほどの日本ではないのだ。
みんな、ほんとうに好きな誰かがいないので、すこしも哀しくはない。
みんな、自分が自分ではなくなっているので、すこしも苦しくはない。
みんな、青い空を見上げないので、たれも自分のうつろに気づかない。
そんな人らが集まって「政治」をしている、そんな六月。
それにしても、自分がこんなにも自分の国を好きになれない日が来ようとは夢にも思ってもいなかったが。
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