スマップ碁
道すがら美濃で打(うち)ける碁を忘る 芭蕉
ねざめねざめのさても七十 杜国
― 「冬の日」 (『芭蕉七部集』 中村俊定 校注)―
今回の帰省、行きも風で電車が遅れて7時間、帰りも乗り込んだ特急がさらなる強風で運転打ち切りとなって金沢に戻るという、何やら前代未聞のことになった顛末、たいそうおもしろく書けそうな気がしていたのだが、おおかたは人に話してしまったので何やら書く気も失せてしまった。
そうは言っても、今回の引用はヘッセの『春の嵐』から引くしかないな、などと思って乗り込んだ列車の中で広げた新聞に、なんというタイミングか、引用の歌仙の句と付けが載っていて、思わず笑ってしまった。
もちろん私らの場合
道すがら加賀で打ける碁を忘る 捨般
ねざめねざめのさても六十 歩生
といったところなのであるが。
四日間の滞在で都合十局ばかりも打った頃、司氏がしみじみ言うたものでした。
「わしらの碁て、スマップの歌みたいなもんやなぁ。
何年やっとってもうまくならん」
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