凱風舎
  1. トップページ
  2. 凱風通信

風薫る

 

汝自身が時を作る。汝の五感が時計である。
汝が不安を押さえたなら、時はそこから始まる。

 

― 中村真一郎 「古語余韻」(シレジウス)―

 

夜、窓を閉じようと窓辺に立つといい匂いがした。

そうだった !
今朝起きて窓を開けた時も、風にいい匂いがしたのだった。
いつのまにか花つけていた、部屋の傍らの柚子の木。

忘れていたけれど、今日一日、私がいい気持ちで過ごせたのは、きっと朝の窓辺にかいだこの匂いのおかげだったのだ。

 

東の空に、黒猫の目のようなアーモンド形の金色の月。