「熱狂」 前野狼騎さん
こちとらようやく暖かくなって、犀川べりも春光が眩しい季節じゃ。
今、金沢は新幹線開通で街中が熱気で浮かれておるわ!都会へ行く人も、金沢へ来る人も目的地に早く着きたくてしょうがないんじゃなあ。まあ、気持はわからんでもないが、熱狂はラフヲルジュルネだけで十分よ。
ところで、凱風先生は金沢を出て都会に住み着いてから40年程経つのではないかのう。都会に住む誰もが、唄の文句のように都会の絵具に染まっているかどうかは知る由もないが、新幹線が通ったことで、故郷の言葉も文化も都会的に変化していくのは致し方ないのう。
ワシら金沢の人間は物を水などで冷却することを「ひやかす」というが、都会では「ひやかす」は、からかうことじゃろう。まあ、金沢弁でよく全国に紹介されるのが「…しまっし」じゃが、ワシらは滅多にこんな上品な言い方はしない。金沢近郊出身の司氏のように「やれまいや」とか「やらんかいや」といった乱暴な言い方か、ワシなら「やるこっちゃ」を使うんじゃ。
他にもワシらがよく使うのは、「わらびしい」(子供じみている)、「つんだっていく」(いっしょにいく)、「はがいしい」(くやしい)、「ざっかっしゃ」(下品だ)、「げべ」(最後尾)、「ちゃべ」(出しゃばり)など意外にも金沢弁には濁音が多いんじゃなあ。
そう言えば、今季J-2に昇格した金沢のサッカーチーム『ツェーゲン』は金沢弁で(強いんだぞ)という意味なんじゃわ。
胎内はかくありなむと大朝寝 狼騎
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おたよりありがとうございます。
そちらの「熱狂」は知らず、今回の春の帰郷はどうやら新幹線、ということになりそうです。
今回私に「つんだってくる」という真君は、低料金「長距離バス」を主張しておりましたが、六十過ぎた身にはそれは《虐待》というものでしょう。
一応予定は、四月の初めに彼の新学期の健康診断があると言うので、3月30日(月)から五日間くらいのつもりでいます。
礼儀正しく、真面目な私の教え子を皆さまに紹介できるのが楽しみでございます。
ところで、方言といえば、わたしの本棚には宗匠が、昔、くだすった
「頑張りまっし、金沢ことば」(1995年 北國新聞社発行)
というのがあります。
まあ、方言の本というは地元(出身)の人が読むからおもしろいのであって、生徒の誰も興味を持ってくれません。
ちなみに私がなにげなく口にして、生徒たちにおおいに笑われれた方言は、
鉛筆をケンケンにする
でございました。
えー、金沢以外の人たちのために書いておきますならば、
「けんけんにする」
は
「先を尖らせる」
という意味でございます。
ついでに言っておけば、これは
「けんけんな鉛筆」 (とがった鉛筆)
というふうに形容動詞としてもつかいます。
すてぱん
追伸:
前回宗匠がご推薦なされていた「反知性主義」(森あんり著)は、ほんとうにおもしろうございました。