ポケット
古川さん、いいなあ、そんな歩き方。
― 永田和宏 「朝日歌壇 選評」―
・・・・と、今朝の「朝日歌壇」で永田さんが羨ましがっているのは、京都市の古川やす子さん。
私は、歌よりも、その選評に、思わず、うふふ、となってしまった。
で、それはどんな歩き方かというと
君のあのダウンの左ポケットはわたしの右手の居場所だったよ
みなさん、どうですか。
こうやって歩かれた記憶、ございますか。
なに、おありになる!
いいですな。
うらやましいですな。
でもまあ、男というのはたいがいそんなことはどこかに忘れてしまう。
あったような、なかったような・・・・。
まあ、女性のかたも忘れるのかもしれない。
でも、男よりは長く覚えていそうな気がする。
わかりませんが。
永田氏は評をこう締めくくっておりました。
左のポケットは右手ばかりでなく、作者自身がいちばん安心していられる場所だったのだろう。
実にやさしい選評ですな。
この歌が、実は「過去形」で語られていることにはあえて触れずにおりますな。
やさしい。
とはいえ、人にとって、こんな安心していられる居場所があることを、しあわせ、というのかもしれません。