暗い
美しい答えなどなにものでもないのがいったいいつになったらわかるのか。
まやかし以外のなにものでもないんだぞ。
― エリ・ヴィーゼル 「死者の書」 ―
午後から雨。
ところで、大晦日の紅白歌合戦で、サザンオールスターズの歌った歌「ピースとハイライト」という歌がネットで反響を読んでいるのだと今朝の朝日に書いてあった。
例によって私は聞いてはいないが、歌には
都合のいい大義名分で争いを仕掛けて
裸の王様が牛耳る世は・・・狂気
というような歌詞があったらしい。
「ピースとハイライト」という題名は「平和と極右」と読みかえることができるとか。
ここに安倍政権への皮肉を読みとるのはごく自然なことだが、ネットの中ではこれに対して賛否交々の意見が飛び交っているらしい。
私は、いわゆるネット上の言説というものがどのようなものか、よくわからんのだが、
「日本に対するヘイトソングを紅白で歌うたわけ」
なんてのもあるらしい。
いやはや。
桑田圭祐氏にはたしか『こんなもん、たかが歌じゃねえか』という本があったような気がするが・・・・。
たかが歌なのになあ。
などと思っていると、毎日新聞の夕刊には木村草太さんという34歳の若い憲法学者がこんなことをしゃべっていた。
先日ラジオ番組に出演した時、今の状況で安倍首相を題材にしたコントが作れるかが話題になりました。小泉純一郎首相の時代はこう言う番組が結構あったと思うんです。
なーるほど、言われてみればそうかもしれない、と、ほとんどテレビを見ない人間が言ってもしようがないが、
権力者をギャグで風刺できる明るい空気が世の中から消えている
という指摘は当たっている気がする。
そんな空気は感じる。
木村氏は続ける。
安倍政権って暗いんです。
安倍自民党のスローガンは『この道しかない』。
これしか残っていないという物言いで、聞かされる有権者も暗くなる。
小泉首相が使ったのは『抵抗勢力』。
対抗するものがあるということは別ルートがあるということ。まだ明るさが残る。
なーるほどなあ。
たしかに暗いよなあ。
私までずっと気分が暗いもの。
たぶん、他の言説を力づくで否定するのは、自分が言っていることに自信がないからなんだろうなあ。
安倍内閣の閣僚の言葉がどれもウソっぽいのも、心から言葉が出ていないせいなんだろうな。