「冬麗」 前野狼騎さん
今日の金沢は一週間ぶりの晴天でした。
太陽サマの顕わな姿を見るのは久し振り。
昨日までは低く暗い雲や冷たい霙の厚いベールが街を覆っていて、重い気分でしたが、今日は清々しいなあ!
朝から市役所へ期日前投票へ行ったらなんと長蛇の列で、しかもほとんどが老人でした。
「はよせんかい!」
と怒っている人もいて、騒然としていました。
彼らも圧倒的な自公政権を下から支えている国民です。
ところで、今日から『特定秘密保護法』が施行されますが、これからは、今以上にカフェでの会話にも気をつける、なんてことになるのでしょうか?
昭和の始めは、きっとこんな雰囲気だったのでしょう。
そう、雰囲気なんです。
戦前戦中の、たかが俳句までにもいらぬ気を使わなければならなかった社会は、確実に異常です。
ちなみに、先日私が完封された句会の最高点は
公約を聞き鮟鱇をぶった切る
という楸邨ばりの句でした。
こんな句もヤバイか?
珈琲の香の中にゐて冬うらら
狼騎
追伸 『敗北を抱きしめて』(ジョン・ダワー)は面白かったです。
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おたよりと俳句ありがとうございました。
やはり狼騎といえば俳句です!
申し訳ないことにこちらは連日青空でした。
といってもこれまた連日部屋にいたのですが。
(まったく出不精になりました)
ところで、完封句会最高点句への評価はさておき、やっぱり楸邨の
鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる
はすごいですな。
おかげさまでひさしぶりに思い出しました。
というわけで、本棚の奥から引っぱり出した山本健吉の『現代俳句』 ( 昔の文庫本は活字が小さくて難儀します ) には、この句の評の中に
蟷螂の目の中までも枯れつくす
という誓子の句も引用されていて、これまたすごいなあ、と思ったことでした。
どうやらこんな冬の季語が身に沁みる時代になったせいかもしれません。
ジョン・ダワ―の『敗北を抱きしめて』は私もたいへんおもしろく読みました。
読みながらなんだか自分の国のことをとてもせつなく思った記憶があります。
中に載っていた今上天皇が少年の頃にかっちりとした字で書かれた
平和國家建設
という習字の写真に、この方のその後の生き方を重ね合わせて、
「ああ!」
といたく感動したことも覚えております。
開け放つ窓に枯野も見えざりき
すてぱん