凱風舎
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時雨

朝から冷たい雨が降っております。
そういえば先週、NHK第二放送で蕪村の

 

老が戀忘れんとすれば時雨哉

 

という俳句について30分間講義しておられた大学教授がおられました。
まあ、これで30分語るなどというのは研究者というものもすごいものですが、その方が何を語っていたのかは残念ながらすっかり忘れてしまいました。
とはいえ、この句、寒い部屋に背を丸めている老人が障子の向こうの雨の音に何見るともない目をやっているそのわびしさが出ておりますな。
なかなかしみじみの「老が戀」です。
まあ別に私に忘るべき「老が戀」があるわけではありませんが、今日寒い部屋にひとり雨の音なんか聞いてたら思い出しました。

ところで、同じ、恋を忘れるにしても、若者のそれとなると

 

卒業す片恋のまま ま、いいか

 

なんてことになります。
これはマンガ家の福地泡介氏の句ですが、身も心も恋も、この軽さが若さというもんですな。