凱風舎
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2014/10/24~2014/10/26

2014/10/24(金)
19:15仕事上がり。
笹塚から六本木まで歩く。1時間45分くらい。
21:45「壊れた心」(2014年フィリピン、ケビン監督)
「ゴッドファーザー」が仕切る、スラム街にすむ「クリミナル(犯罪者)」浅野忠信が、「ホア(売春婦)」と恋に落ち、スラム街を抜け出す。彼らを追うのは「クリミナル」の「フレンド」。
映像が抜群。
スラム街の映像がとても美しく撮られていたり、「ホア」のシーンがとんでもなくエロく撮られていた。
全編セリフらしいセリフが無く、あるのは、ジージージーと言うノイズで奏でられる世にも美しいメロディ。そして、ことあるごとに流れる昭和ムード歌謡のような音楽。
物語の筋とか意味とかは重視されていない(ケヴィンという監督自体がアンチ物語、アンチドラマというスタイルらしい)。
美しい映像とノイズで作られた世にも心地よい音楽で作られた映画。
「ruined heart」(この映画の原題)という曲が様々にアレンジされて繰り返されていた。どれも、ストレートなアレンジでは無く、何処かにうるさくならない程度のノイズによって構成されている。
監督のケビンが音楽を作っているらしい。
撮影監督クリストファー・ドイル。この人、ウォン・カーウァイの「花様年華」や「恋する惑星」「天使の涙」で撮影をして居た人らしく、なるほどねぇ、となる。
監督、キャスト、スタッフによる上映前の舞台挨拶と上映後のQAあり。
クリストファー・ドイルがわけのわからないハイテンションで悪ふざけを繰り返していて、ちょっと心配になる。

2014/10/25(土)
10:50「メルボルン」(2014年イラン、ニマ・ジャウィディ監督)
テヘランのマンションに国税調査にやってくる若い女。彼女が訪ねた一室には夫婦がいて引っ越しの準備をしている。
「転居ですか?」
「ええ」
「どちらへ?」
「メルボルンへ、3年ほど」
そこから、アミールとサラの夫婦に話が移る。彼らはまさに今日旅立つ予定で、荷造りに励みつつ、電話やら来客やら質屋やらの来訪があり忙しくしている。そんな中、一時的に預かっていた隣の部屋の赤ん坊が息をしていないことに気づき、、、
国税調査の女の子が訪ねて来てから、彼ら夫婦が部屋を後にするまでの約4,5時間、アパートの一室で話は展開する。
物語が進めば進むほど苦しくなって行って最後は少し見るのが辛かった。
傑作イラン映画「別離」(2011年、アスカル・ファルハーデイー監督)に出ていたペイマン・モアディが出ている。
「別離」に近い気はする。でも「別離」は別格なので、それと比べてはいかんか。

14:00「紙の月」(2014年日本、吉田大八監督)
預けられたお金を盗んで、その金で若い男(池松壮亮)を囲うという職業倫理のかけらもない銀行員を宮沢りえが演じている。
早く悪事がばれて天誅を喰らえばいいなと思いながら見る。
彼女の悪事を暴いて行く真面目一徹銀行員の小林聡美(原作にはないキャラらしい)が面白かった。
彼女が、何事にも細かく正確性を追及して情け容赦無く宮沢りえを追い込んで行く映画だったらもっと良かったのにな。
とにかく、リカと言う宮沢りえが演じている役に同情する余地が無いのでこまった。

17:40「実存を省みる枝の上の鳩」(2014年スウェーデン、ノルウェー、フランス、ドイツ、ロイ・アンダーソン監督。
博物館の一室。老人が1人、剥製を眺めている。画面左奥には彼の夫人とおぼしき疲れた感じのする人物が剥製を眺める爺さんを見るとも無く見ている。
画面中央やや左にショーケースがあり、ひょろっとした一本の枯木とその枝に止まる一羽の鳩の剥製。それに相対するように画面の右側にあるショーケースには、今にも襲いかからんとする猛禽類の剥製がある。
ゆらゆらと右から左へ展示を眺めた老人が左奥の婦人の元へ着き、画面外にあるらしい次の展示室へ消えてゆく。
そんな、オープニングがあり、「この映画は人間がテーマの三部作の三作目である。」みたいな説明の後、「死と出会う3つの場面。その1」
ある部屋の一室。中央にテーブルがあり傍らに太った中年男が立っている(おしろいみたいな真っ白い化粧をしている)。画面左奥にはキッチンが一部見えていて、彼の奥さんが料理をしている後ろ姿がチラチラ見えている。おじさんがテーブルの上にあるワインを手に取りしばしラベルを眺めた後、栓抜きを入れるが、中々抜けない。ももの間に挟んだり足裏で挟んだりしながらうんうん唸っていると、うっと声を漏らし胸を抑えるおじさん。そのまま倒れてしまう。キッチンでは奥さんが鼻歌交じりに料理。
「その2」
病室にバックをはっしと握った老婆が老婆が眠っていて、、、
と、ことほど左様に話が進んでいく。
スケッチ、コントの連続。一応話らしい話が無いわけではない。
正直、よくわからなかった。
面白いのか面白く無いのかもよくわからない。何についての映画なのか、もう一回見たらわかるだろうか???
ヴェネチア映画祭グランプリ作品らしい。

21:20「来るべき日」(2014年仏、ロマン・グーピル監督)
ロマン・グールピ監督本人が本人役で本人が中々映画が撮れずに苦しんだり、自分の葬式について考えたりする姿を家族とのエピソードを奥さんと出会ったサラエボ時代のホームビデオを交えつつ描く。
フランス人ってのは本当によく喋るもんだと今更感心するくらい、最初から最後まで喋り通し。
最後のエピソードがとても良かった。

ハロウィンだとか言って、六本木がお祭り騒ぎになっている。

2014/10/26(日)
10:50「マルセイユ・コネクション」(2014年仏、セドリック・ジメネス監督)
マルセイユを舞台にした犯罪もの。
マルセイユからアメリカへヘロインの輸出を行っている犯罪組織を新任判事が追う。
「フレンチ・コネクション」のマルセイユ側の話みたいな感じ。
邦題こそ「マルセイユ・コネクション」だったけど、麻薬組織は劇中で「フレンチ・コネクション」と呼ばれていた。
監督と俳優によるQAあり。
随分若い監督だった。
俳優(ジル・ルルーシュ)が、まぁまたよく喋る男であった。

14:40「遥かなる家」(2014年中国、リー・ルイジン監督)
新境ウイグル地区河西回廊の遊牧民族ユグル族の兄弟、バーテル(兄)とアディカー(弟)。
アディカーは父親と身体を悪くした母親と遊牧して暮らし、バーテルは町に住むおじいちゃんに預けられている。
2人は別々に暮らしているが、同じ学校に通っている。
(町にある寮付きの学校に遊牧民の子供たちが通っていて、週末とか夏休みのときだけ家に帰っているらしい。)
夏休み前のある日、バーテルと暮らしていたおじいちゃんが亡くなってしまう。
アディカーとバーテルは、ラクダを連れて草原と言うか、ほとんど砂漠の中を両親を探す旅に出る。
とても良い映画だった。壮大な砂漠の中で両親を捜す幼い兄弟の対立、葛藤と和解。
ただ、結末が「えっ」という感じ。
上映後、監督とプロデューサーが登壇してQAあり。
結末に関してはプロデューサーの意向であったらしい。
アディカー、バーテルの二人は現地のユグル族の子どもを使っているらしい。
ただ、現地の子どもでもユグル族の言葉はもうしゃべれなくなっているので2カ月間の訓練が必要であったとのこと。
ユグル族というのは、ルーツは突厥族でウイグル族と同一。
突厥族のうちイスラム教を信仰するグループがウイグル族になり、ラマ教を信仰するグループがユグル族となったという話。

17:30「1001グラム」(2014年ノルウェー=ドイツ=フランス、ベント・ハーメル監督)
(この映画のチケット売り切れていて買えなかったんだけど、直前になって空きありになっていて買えたのでした。メルマガではキャンセルが出たとか何とか行っているけど、東京国際映画祭のチケットってキャンセルできないはず。関係者席を出してるのかな?去年もこんなことありました。)
親子でノルウェーの度測量研究所に勤務するマリエ。
ある日、父が倒れ、マリエは彼の代わりに毎年パリで開かれるキロ学会(国際的な1kg標準を管理するため、各国がそれぞれ管理する1kg標準を持参して一堂に会する学会)に参加することになる。
彼女はノルウェーの1kg原器を持ってパリに向かう。
近未来的な研究所やマリエの住む家や彼女が運転する電気自動車などが非常に綺麗に配されていた。
とぼけた感じの演出ながら度量衡とは何かとか色々と興味深い内容でした。

21:15「神様なんかくそくらえ」(2014年アメリカ、フランス、ジョシュア・サフディ、ベニー・サフディ監督)
ニューヨークでホームレスをするティーンエイジャー達がドラッグに溺れたり、1人の少女がろくでなしをひたすら愛したりする話。
主人公のハーリー役をやっていた女の子(アリエル・ホームズ)の実体験を映画化した作品らしい。
すごくガチャガチャした映画。
内省的な所が一切無く、その代わりこれでもかってくらいに剥き出しで、ほとんどのシーンで誰かが叫んでいたり、わめいていたりする。パチンコ屋映画と呼びたい(軍艦マーチは流れていません)。
上映後QAに監督兄弟とアリエルと劇中でアリエルが求め続けるイリア役をやっていたケイレブ・ランドリー・ジョーンズが登壇。
アリエルは終始俯きがち。だけど、受けけ答えはしっかりしていた。
それより、ケイレブがフニャフニャしながらファックを連発したりしていて酷い状態。まぁそれが彼のスタイルなのかもしれない。よく知らないけど。
にしても、あれが実話ってアメリカはどうなってんのかと思う。NYであれって。

今日は以上、とりあえず3日分。
1週間更新が無いですが、大丈夫ですか(「お前が言うな」ですね)。