凱風舎
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9/1~9/7

2014/09/01(月)
17:45仕事上がって渋谷へ。
富士そばでうどんを食べる。
18:45より「テロ,ライブ」(2013年韓国、キム・ビョンウ監督)@ヒューマントラストシネマ渋谷。
めちゃくちゃ面白い。
全編、放送局の中を離れないシチュエーションサスペンス。
これでもか、これでもかと畳み掛けるように展開して行くエピソード。
素晴らしいジェットコースタームービーでした。
20:30に終わって外に出ると土砂降り。
22:00前に帰宅。
明日、明後日の前橋出張準備をした後、昨夜録画していたプレミアリーグ、レスター対アーセナルを見る。
アーセナルの動きが悪い。

2014/09/02(火)
出張で前橋へ。
21:00前に作業終わり。
ビジネスホテルにチェックインした後、
21:00から23:00位まで駅前の居酒屋で飲む。
携帯の充電器を忘れていたことに気付く。
電池があやういので何もせずに寝ようと思う。

2014/09/03(水)
事情があり、朝8:30位に前橋を出て東京の職場に戻る。
17:45仕事上がり。
新宿へ移動。
18:30より「華岡青洲の妻」(1967年増村保造監督)。
雷蔵特集の内の1本。
ただ、この映画での雷蔵は添え物みたいな感じ。
若尾文子と高峰秀子の話だった。
話の展開になんだかなと思いつつも、女性目線からの切れ味鋭い切り返しなんかには「おぉ」となったり。
上映後に聞き覚えの無い女性の作家さんのトークイベントがあるとか言っていて、
「当時を知る大家が話すのかな、、、やだな」と思っていたら、
意外や意外、小娘みたいな女の子が登壇してビックリした。
山内マリコさんと言うらしい。主著は「ここは退屈迎えに来て」。と聞いてハッとなる。
何処かでその本が面白いと聞いて読もうと思っていたまま読まずにいるその本の作者だった。
運命を感じるので明日にでも買って帰ろうと思う。
トークイベントでは橋本治の話が出て、橋本治がこの「華岡青洲の妻」はよく言われるように、
嫁姑の諍いがメインテーマでは無く、女性の同性に対する憧れがテーマなのだというような話をしていたらしく、
やっぱそうか!となる。
21:00すぎに三鷹着。
自転車で帰ろうとしたら、後輪の空気が微妙に抜けている。
パンクほどあからさまでは無いのだけど、、、
こないだ空気入れたばかりなのに、明日明後日の通勤どうしようかなと思いつつ、立ち漕ぎて帰宅。

2014/09/04(木)
17:30仕事上がり。
笹塚からバスに乗って渋谷へ。
東急の上にあるジュンク堂によって、山内マリコの本を探すが無い。
諦め、ユーロスペースへ移動。
18:40「物語る私たち」(2012米サラ・ポーリー監督)@ユーロスペース。
公開前からかなり話題になっていた作品で結構期待していたが、最後まであまり話に入りこめなかった。

監督であるサラ・ポーリーが11歳の時に亡くなった母親の姿を探る話と、
実はサラの本当の父親が別にいるのではないか、だとしたらそれは誰でそこにはどんな物語があったのか
というサラが生まれる背景を追い求めるという2つ物語を
両親や兄弟姉妹、両親の友達などにインタビューしてそれぞれの話、物語を探っていく。
帰途に自分がこの映画になぜ入り込めなかったか考える。
この映画の特殊な構造についての知識を見る前にはからずも入れてしまい、それによって身構え過ぎていて、 本編とは関係のない所で緊張してしまっていたってところが大きい。
あと、今週はいろいろあって割と疲れていたこともある。
電車で新聞読んでても字面を視線が滑るだけで何にも頭に入ってこないという有様。
でもこういう時でも映画館に入ってかかっている映画が面白いものだと途端にビシッとしてくるもなので、
やっぱこの映画が自分にとってあまり引っかかりが無い映画だったんだろうなと。

でも、もう一回見たら、多分また違う印象を抱くはず。
21:30頃帰宅。
洗濯とか掃除とかしなくちゃと思いつつ、何もしたく無い。

2014/09/05(金)
17:30仕事上がり。
カレー食べてから渋谷へ。
19:10「恋恋風塵」(1987年台湾、ホオ・シャオシェン監督)
とても面白かった。
久しぶりに恋愛映画。
それも、ただの恋愛映画では無い。
「好きだ」とも「嫌いだ」とも言わずに何と無く惹かれあっているように見える台湾の田舎村出身の男の子(アワン)と女の子(アフン)の物語。
(以下、作中人物の名前がアワンとアフンでただでさえ紛らわしいのに、カタカナ表記でさらに混乱するので、ジェンダー的なコレクトネスを無視して、男の子には君付けで女の子にはちゃん付けで呼びます)
最後まで見て、そう言えばこの映画の作り方が最初の方からちょっと引っかかるなと感じていた事を遡って脳内確認。
作中、アワン君の背中越しにアフンちゃんがこちらを向いているという構図が繰り返し描かれる。
また、詳細に描かれるアワン君の生活に対して、アフンちゃんの方はアワン君が画面上にいる時だけ映画の中に登場する。
(唯一、アワン君のいないところでアフンちゃんが登場するシーンが最後にあってその切れ味ったら無い)
アワン君も無口だけどアフンちゃんもほとんど喋らないので、
彼の背中越しのアフンちゃんの仕草に観客の視点は集中して、見ている方は、あぁこの子は彼に惹かれているんだなと忖度することになる。
この映画の主人公はアワン君なのだけどこの映画が主として描いているのは実はアワン君から見たアフンちゃんなのである。
そうして描かれる物語は最終的に、女の子が何考えてるなんか男の子には全然わかんないよ、っていう感じになる。
まあ、男子がこの映画見て彼女の気持ちがわからないのは当然で映画がそういう作りになっているからなのでした。
(私はこう見えて既にかなりなおっさんなので、実はアフンの気持ちがわからないでも無いのですが、そんな見方はこの映画に対して誠実じゃないんだよぉ)
一回きりの記憶を頼りに書いているのでいろいろ確かめるためにもう一度見たいなと思う。
あー、面白かった。

2014/09/06(土)
9:40「チング」(2001年韓国、クァク・キョンテク監督)
面白くない。
11:55「チング永遠の絆」(2013年韓国、クァク・キョンテク監督)
わをかけてつまらない。
前作で焦点が当たっていたはずの友情が続編では一顧たりともされないのはどうしたことだろう。
話の展開はご都合主義だし、ゴッドファーザー2を狙ったと思われる過去と現在の混在も中途半端の尻切れトンボで終わる。
ま、いいや。
韓国のヤクザ映画は嫌いじゃ無い、最近では「悪いやつら」とか「新しき世界へ」とか凄いなと思ったし。
だけど、これはダメ。
(やくざ映画はやくざを描くんだから、ダメなやつが主人公じゃないとダメじゃないかと思う。
中途半端に正義漢ぶったりするくらいなら初めからやくざなんかやらなけりゃ良い)
14:35「さまよう刃」(2014年韓国、イ・ジョンホ監督)
こういう映画はどうかと思う。
娘が少年グループにレイプされた挙句に殺されて、その少年たちに父親が復讐するという話。
いつだかみた韓国映画の「母なる復讐」という映画とほとんど同じストーリー(話はこっちの方が悲惨だったけど、こっちの方がまだ見れた。)。
こういう難しい微妙な話を作るのに、少年グループの描きかたが雑すぎ。
もっと丁寧に作らないとダメじゃん、と言うか、韓国ってこんな話が進んで作られるような感じになってんのかなと思ったら原作が東野圭吾だった。
そう言えば寺尾聰が出ていた映画で同じようなのがあったことを思い出した
(そっちはwowowでやってたのを、最後だけ見た気がする。そっちも「さまよう刃」という題名)。
以上3本、どれもヒューマントラストシネマ渋谷。
16:35終了。朝から3本見て3本とも消化不良だったので「次行くしかない!」と急遽、明治通り沿い宮下公園近くにあるヒューマントラストシネマ渋谷から道玄坂のユーロスペースへダッシュ。
17:00「365日のシンプルライフ」(2013年フィンランド、ペトリ・ルーッカイネン監督)。
満員。
「俺はモノにとらわれ過ぎているのでは、、、」そう考えたこの映画の監督でもあるペトリ(26歳)はある日、自分の全所持品をいったん貸倉庫へ預けることにする。
ルール1 これから1年何も買わない。
ルール2 1日1品のみ貸倉庫から持ち出し可。
そうすれば、本当に必要なモノがわかるはず!
何も無い部屋に丸裸で立ち尽くすペトリ。実験スタートとともに軽く雪の残るフィンランドの街を全裸で貸倉庫まで走って行き、まず手にしたのは膝丈まであるコート。
全裸にコートという完全変態スタイルで部屋に戻りコートにくるまり就寝。
翌朝、固定カメラに向かって「コートの腕のところに足を突っ込んでボタンをとめると、コートは寝袋になるってことを発見したよ」
な、感じで1日1品づつ物を増やしていくペトリを追う、と言うか自分で自分を撮っているセルフドキュメンタリー。
面白かったのですが、こんな感じのこと電波少年でよくやってたなと変な懐かしさを覚える。
その後有楽町へ移動。
19:55「大いなる沈黙へ」(2005年フランス、スイス、ドイツ、フィリップ・グレーニング監督)
ちょっと前まで岩波ホールでやっていて、見たいな見たいなと思いつつ見れていなかった作品。
フランスのアルプス山脈にあるグランド・シャルトルーズ修道院の生活を写し出す。
ナレーションは無く、所々、無声映画のセリフが写し出されるような感じで聖書からの引用がスクリーン上にあらわれる。
3時間弱ある映画はその題名の通り沈黙のうちに進みます。
王兵(ワン・ビン)監督の映画、特に「鉄西区」3部作に近い。
「鉄西区」の方は中国の工場地区を延々と写して行く映画で、こちらもナレーションもストーリーもなしの2時間半×3本という困った作品。
題材はかなり違うが、見終わった後の感じが近い。
「大いなる沈黙へ」と「鉄西区」に共通して言えることは、スクリーンの方からこちらへ寄ってくる話では無い、ということ。
スクリーン上に写される映像に対する説明を一切無くすことにより、映画を見る時の方向性、力の流れが、スクリーンから客席では無く、客席からスクリーンへ向かわざるを得ないつくりになっている。
つまり、観客はスクリーン上に放り出された情報の能動的な解釈を強制されることになり、その結果、見ているうちにスクリーン上に流れる時間に体ごと取り込まれてしまう感覚に陥る。
修道僧の静かなゆったりとした動き、あるいは中国人労働者のせわしないそれでいておおらかな動きに、だんだん見ている側の体があって行く。
体のリズムが変わってしまうので、見た後、余韻がずっと残る。映画を観終わった後の夜の街がまるで映画の続きのように感じる。この感覚はなかなか味わえないです。
あと、こういう映画だと序盤で必ず激しい眠気に襲われて、実時間にして5分くらいスクリーン上の映像と頭の中の映像が混ざり合ってわけがわからなくなる。
そのまどろみを超えると、途端に覚醒が訪れてはっきりと映画との歩調が会うようになる。
23:00前に終了。
ぐったりしつつ、外に出るとまた土砂降り。
24:00過ぎに帰宅。
午前1時からジョコビッチ錦織戦を見る。

2014/09/07(日)
昨夜、錦織の試合を最後まで見てしまったので11:00起床。
12:30「LUCY」(2014年仏、リュック・ベッソン監督)@TOHOシネマズ六本木。
台北にいる韓国マフィア(チェ・ミンシクだ!)とのトラブルに巻き込まれたルーシーはお腹の中にCPH4という未知のドラッグを埋め込まれ運び屋とされてしまう。
途中、チンピラにお腹を蹴られて埋め込まれたドラッグの袋が破れ、計らずも彼女は謎のドラッグCPH4を大量摂取してしまう事となる。
CPH4には普段10%しか使われていない脳の力を解放する効果があり、ルーシーの能力(って言っても脳みそをフルに使うってことだけど)は徐々に解放されて行く。
20%、1時間で中国語をマスター。
25%、髪の色を自在に変化させることが可能に。また、眼力だけで警察犬を威圧。
30%、手をかざすだけで相手がバタバタと倒れる。
などなどなど。
なんかもう、よくわからないことになっていって、ストーリー的にもルーシーや韓国マフィアやモーガン・フリーマン演じる大学教授それぞれが何の目的で何をしたがっているのか見ていて全然わからないのはやっぱふだんから脳みそを3%くらいしか使ってないからだなと反省。
でも、まぁ、たまに、こういう映画見ると新鮮で面白い。
久振りに六本木のTOHOシネマズに行ったらスクリーンが見やすかったり、普段と客層が違って子どもなんかもいたりして良い感じ(映画は子供のころに見たのが本当に楽しかったので、映画館に子供がいるとそれだけで楽しい気分になるのです)。
新宿へ移動。
紀伊国屋に寄って、アゴタ・クリストフ「悪童日記」と加藤直樹「九月、東京の路上で」を購入。
買ったはいいけど読むヒマあるかな、、、
15:30「ひとり狼」(1968年、池広一夫監督)
雷蔵特集の内の一本。
これは、あんまりだった。あらすじを書き留めても意味が無い気がする。
朝、と言うか昼起きてからパックに入ったパイナップル以外食べていなかったのでかなりな空腹。
ラーメン屋に行く。
18:30「剣鬼」(1965年、三隅研次監督)
これも雷蔵特集の1本。これは面白かった。
花畑作りの名人でありながらその出自から犬の子と蔑まれる班平が、
ある日居合の達人と出会いその技を伝授され、自らも居合の達人となり、
藩内部のゴタゴタがあって、隠密やら、脱藩して江戸に上奏しに行く元藩士をバッタバッタと切り落とす。
班平が馬より速く走れたり、結構早い段階で出てくるいわくありげな虚無僧が終盤あっさりと切られたり、
マジかよとなるけど、それはそれで楽しいのでOK。
そんな話。
20:00終了。

今週のお勧めは
「テロ,ライブ」
「恋恋風塵」(あと何回かやるはず、レイトショーだと思うけど)
「大いなる沈黙へ」(これも、来週の金曜日まではヒューマントラストシネマ有楽町か新宿のシネマカリテでやっているはず)