凱風舎
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「ハマヒルガオ」 勝田正人さん

       

 

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    6月をとばして7月になったかのような暑さでした。

 

    浜辺で流木の破片をバケツに拾っていると、向こう

    から日焼けしたおじいさんが釣竿を手にこちらへ来

    て、「これじゃあ、キスも寄り付かん!!」と一言。

 

    そのはずで、浜辺近くに3台の水上バイクが爆音を

    轟かせて旋回していました。

 

    ではありますが、海からの風は気持ちよく、砂丘には

    ハマヒルガオが群生しています。

 

 

 

     だらだら坂を浜へ降りてゆけば

     道端に白つめくさの花、浜だいこんの花

     

             ― 中村稔の《大潮の磯にて》より ―

 

        この浜だいこんの花を私は長いことハマヒルガオの花と

        思っており、今回の投稿で気付いた次第です。

 

 

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おたよりありがとうございました。

小学校3年生の時、遠足で犀川を下って専光寺の浜まで行ったことがあります。
防砂林の手前あたりまでくると汗ばむ私たちの鼻にやがて濃い潮の香りがして、歩きにつかれた私たちを元気づけたのでした。
砂丘をのぼって海が見えたとき、私たちは歓声を上げたはずです。
私にとって夏休みの海水浴以外の時に海を見るのは初めてでした。


波打ち際でたわむれ、昼ご飯のおにぎりを頬張ったあとだったと思います。
担任の男の先生が、そこに生えている草花を指さして

これがハマボウフウ。
これはハマヒルガオ。

とそれらの名を教えてくれました。
そして、たとえばハマヒルガオは同じヒルガオの花を咲かせながら、その葉が私たちがふだん目にするヒルガオよりもはるかに厚くつややかなことに私たちの注意をうながしました。
そのあと、砂地を掘って、それらの植物の根がとても長いことをも私らに示しながら、
「海岸の砂地は、草花にとってあまり生きやすい環境でないから葉も根もこうなったのだ」
とおっしゃいました。

私はたぶんとてもびっくりしたのだと思います。
だから、よく覚えているのでしょう。

ハマヒルガオ。

写真に写った葉っぱは、たしかに肉厚でつややかです。
そして、その花は、まるで遠い記憶のようにやさしく淡い色です。

 

すてぱん