凱風舎
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春の貌

  

とつぜんに庭から葉が出でた。花咲いた。春の流転なめらか。

今日は(かたち)きのふに変る。一日待つたる不覚。春の流転けざやか。

 

― 木下杢太郎 「草堂四季」―

 

 昨日は春一番が吹いた。
 今日は北風。
 明日は雨なそうな。
 もう三日外に出ていない。

 木下杢太郎は

  一日待つたる不覚。

と書いているが、春を三日も外に出ずにいたら、それは「不覚」どころか、とんでもなく外の景色は変わっているんだろう。

 そう言えば、久しぶりにやって来た愛ちゃんの「貌(かたち)」もすてきに変わっていたな。
 そうか、制服を脱いだあの年頃の娘さんもまた、春の野原のようなものなのだな。