凱風舎
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コーヒー栽培法

 

「つまり、私は自分の主根を忘れたいと思っていると、君は言うのだね。」
「はい、そうなのだろうと思います。でないとすれば、あなたのお国の人たちによくあることですが、もともとあなたは主根といえるほどのものをおもちでないということになります。」

 

 ― イサク・ディネセン 「夢みる人びと」(横山貞子 訳)―

 

 一月ほど前、勝田氏が、下の写真とともに実をつけぬコーヒーの木の話を書かれていました。

 

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 それに関して、今日、有力な《情報》が書かれている小説を読んだので報告します。
 むろん、これは小説です。
 そこに書かれていることが、ほんとうのことである保証はどこにもありません。
 というより、むしろ、これは比喩として書かれているのでしょうが、おもしろいから載せておきます。

 

 「ご存知でしょうか。コーヒーの苗を植えるとき、主根を曲げてしまうと、その木はやがて、数え切れない小さな細い根を、地面のすぐ下に張るのです。その木は育ちませんし、実を結ぶこともありません。」

 こう書いてあります。
 勝田氏、まさかあなた、主根を曲げて植えたりなさってはいないでしょうな。
 それでは、コーヒーは実を結ばぬそうですぜ。
 でもって、話はこう続きます。

 「しかし、(それは)ほかの木よりもはるかに豊かに花を咲かせます。」

 実らぬ花ですな。
 日本語ではこれを「徒花(あだばな)」と称します。
 なぜそうなるとかと言えば、以下の如くです。

 「地表近く張ったこまかい根は、その木の夢なのです。こまかい根をびっしり張ると、その木はもう、曲がった主根のことを気にしなくなります。そしてこまかい根によって生きてゆく。わずかな間です。決して長い命ではありません。逆に、その木はこまかい根、つまり夢のせいで死ぬと言ってもさしつかえない。」

 

 まあ、やっぱり、これは「コーヒーの木の話」というより、ある種の人びとの話を書いているようですな。
 そして、どうやら、その中のひとりが今これを報告しているような気もしますが・・・。