肆
百工、肆(し)に居て以て其の事を成す。
― 「論語 子張第十九」 (金谷治 訳)-
「肆」というのは仕事場のことであるという。
使うべき道具がそろっている仕事場。
さまざまな職人たちは自分の道具が置かれた仕事場にいて自分の仕事を仕上げるのだと、孔子の弟子の子夏が言ったのだという。
その仕事場は、いつもあるべき場所にあるべき道具が置かれて、必要なとき手を伸ばせばすぐにそれを手にすることができるようにきれいに整頓されているのだろう。
こんなことばを読むと子どもの頃、学校帰りに覗き込んだ竹細工師や畳屋の仕事場などを思い出す。
はてさて、私の部屋はどうだろう。
「其の事を成す」ほどに整っているだろうか。
今日は久々に晴れあがって、窓を開け放った机の上にはつややかな柿の実が秋の明るい光を照り返して美しいのだが。