How Fluently!
「ヤシオカに負けるな」
― 安岡章太郎 「宿題」―
部活が終わって、もてあましたヒマをせっせと塾にやって来て勉強に振り向けていた例の三年生の今回の中間テストの成績は
466点
うーん、すごいなあ!
こんな点数を取ってくる奴、久しぶりだなあ。
そのほかの三年生たちも、皆(約一名例外あり)それぞれに点数を上げて、なにやらよい成績である。
今年の三年生は八人全員が男子。
成績がいい子もさほどでもない子もみんなどういうわけだかここにきて塾での勉強がたのしげで、前を向いているのがいいなあ。
もちろん、教えている私もたのしい。
とはいえ、私、いまだ片肺。
英語の文章を続けて読むと息が上がるというので、このごろは英語の授業になるとみんなの脇で勉強している高校生の真君に英文を読んでもらっている。
うーん、さすがネイティヴ、流れるような読みです。
How fluently!
みんな、どよめきます。
なにしろそれまで彼らが毎日聞かされていた私の発音は、と言えば
《純和風(金沢風イントネーションあり)イングリッシュ》
ですからなあ。
その差たるや、歴然たるものです。
というわけで、みんな、たいそう面白がって、みんなたのしげに真似している。
うーん、なんと素晴らしい塾でしょう!!
てなわけで、今日の引用は安岡章太郎の「宿題」から。
これは、小学生の主人公(安岡)が青森の弘前に転校したとき、先生を含めて標準語を話せるのが安岡君しかいなくて、担任の先生がクラスのみんなに正しい発音をするようにハッパを掛けるときの言葉です。
そもそも「ヤスオカ」が「ヤシオカ」になってしまってるところがなんともおかしいが、私にしたって「s」と「th」の差や「l」と「r」、「h」と「f」の違いが言い分けられるわけがないじゃあ、ありませんか!
なにしろ、私の耳、そもそもその違いが全然聴き分けられんのじゃもの!
だからといって、私、英語の幼児教育が必要だ、なんて、これっぽっちも思ってないんですがね。