凱風舎
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国は隠したがる

今日届いたのMainichi Weeklyに次のようなコラムが載っていた。
筆者のデイビッド・マックニ―ルさんは2000年から日本に住んでいるアイルランド出身の人でイギリスの《ザ・インデぺんデント》紙や《ザ・エコノミスト》誌に寄稿しているかたであるらしい。

こんなことは、日本の新聞はなかなか書かないので、以下、相当いい加減ではあるが拙訳を載せておく。

 

《福島の隠し事と嘘》


私は今、原発の危機的状態が始まった2011年3月11日以来、10度目の福島県へ行ってきたばかりである。
それはがっかりさせられる旅だった。

まず第一に、政府が組織的に放射線レベルを軽く扱っていることは明らかなことだ。

公式な放射線のモニタリング・ポストが県内に点在しているが、同僚の一人と私はそのいくつかを自分たちの放射能測定器で測ってみたところ、そこで私たちが見いだしたものは私たちを落胆させたることになった。

飯館村役場の外では、公式な放射線量は一時間当たり0.7マイクロ・シーベルト である。
しかし、私たちの測定器はそのほとんど二倍にあたる1.2マイクロ・シーベルトを示していた。 
そして、そこから1メートルほど離れると、値は2マイクロ・シーベルトを超え、近くの野原や林では、その値は15マイクロ・シーベルトにもなった。

それは年間に直せば100ミリ・シーベルトを超えることになり、それは原子力発電所で働く作業員の年間被ばく 制限線量を十分に超えているのである。

地元の住民たちや専門家は、モニタリング・ポストを設置した文科省の職員はその下の地面を除染することによって意図的に測定値をゆがめていると言っている。
職員たちはまたモニタリング・ポストを金属板の上に設置しているが、そのことも結果的により低い測定値をもたらしている。

これは異常なふるまいではあるまいか?
政府の最優先に行うべきことは、福島県の市民たちが放射能について正確な情報をちゃんと 手に入れることができるようにすることではないのだろうか――それを隠すことではなく。

福島の悪いニュースを公表しないでおきたい思いは、避難民に自分たちの故郷に帰ることを納得させる必要から もなされている。
そしてそこにはもう一つの思惑もあるのだ。
つまり、もし放射線量があるレベルを公式に下回れば、避難民たちはもはや補償を要求する権利を失くしてしまうことになるかもしれないのだ。

政府の見解は2011年の12月に示され、そのとき、年間の放射線量が20ミリシーベルトかそれ以下の地域は居住可能である と決められた。
福島県知事はそれ以来、国に対して、その問題についてもっと詳しい説明を出すよう求めてきた。
「原則として20ミリシーベルトという基準値は有効なままである」
と内閣の原子力被災者生活支援チームの松本しんたろう は言っている。
「しかし、避難命令の解除は単に放射線量だけで決められるわけではない。
それはそれぞれの自治体のインフラ、あるいはコミュニティが機能できるかどうか、また住民の理解などにもよる。
政府は2013年の末までに明確な方針を明らかにする予定である」

もはや政府は日本各地に不確実な身動きの取れない状態で暮らしている16万人の避難民のためにその方針を明確にするときではないのか。
ほとんどの人はその人たちが二度と故郷には戻れないだろうと思っているし、彼らの生活をやっていくのに十分なお金をと思っているのだ。

間違いなくこれを読んで、福島の大部分は安全だ、なにしろ、県の多くの場所は除染されてきているのだ、と言う科学者や役人がいるだろう。

このような主張を聞いたなら、私は応じたい
「その評価にあなたの子供の健康をあなたは賭ける ことができますか?」
私は自分がそうしないだろうことを知っている。