凱風舎
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「エルビス」  北川司さん

 

 

 上の娘が金沢に帰ってきてはや一年。「エルビス」という名前の犬も少し我が家に馴染んできた。(愛称はエルとか、えっちゃん、エルくん。娘の彼氏が以前バンドを演っていたのでそんな名前にしたのかな)。しかし、トイレの始末だけは全く駄目で、特にちょっとでも意に添わないとすぐあだくそをする。つまりおしっことかウンチを所構わずやってしまう。彼はペットショップで超売れ残りだったらしいので幼児期の甘えが足りないのかもしれない。上の娘をご主人と思っているようだが、彼女は週二回の休みの日にちょろっと散歩に行くだけ。毎朝と毎晩の散歩と餌さやり、トイレの始末は全部嫁さんの負担になっている。私といえば、月に二回ぐらいの散歩と酒のツマミ(チーズとかちくわとかメザシの尻尾とか)をやったりするくらいで、それでも朝起きると尻尾を振ってくれると嬉しくなる。(何でもやらないで!と言われているのだが)

 時に吠えるのが止まないことがあり、みんなから「馬鹿犬!」と言われている。あんまりなき止まない時は飲みかけのビールか水をお見舞いしてやる(もちろん私が)。

 

 もし天地の創造主というものがあるとしたら、できの悪い人間共を見て、私達がエルビスを見るように「懲りない馬鹿たれやなぁ」と思っているかもしれない。

 

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おたよりありがとうございます。

道理で、なにやらやたらと意味もなく天から《水》やら《ビール》やらが、ふりかかって来る人生だとは思っておりました。
もっとも《ビール》なんぞは、叱責とも思わず、ただただ「うまいうまい」と飲んだりもしてたんですが・・・。

                            すてぱん