るなちゃん
月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして
在原業平
― 「古今和歌集」―
昨日今日と夕方テレビで全日本選手権をおおいにおもしろがって観ていたら、今日、200メートル女子平泳ぎの決勝に、今井るな という子が出てきた。
2000年生まれなんだそうだ。
この四月に中学校に入学したばかりだという。
身長153センチ。
オリンピックでメダルをもらったあの鈴木聡美選手をはじめ、鍛えに鍛えて体格がすばらしいお姉さんたちの間に入ると、腕も細いし、胸も薄い。
全然子どもだ。
それでも4コースを泳ぐ。
すごいな。
でも、ほんまに大丈夫かいな、と思って見てた。
飛びこんで、浮かんできたら、体が小さいから、もうそれだけで体半分ほど隣のお姉さんに差がつけられてる。
オイ、オイ、まずいやないか、と思ってたが、それ以上差がつかない。
ずっとそのまま。
強い。
で、結果は鈴木選手に続いての3位だった。
すごいなあ!
身長やら腕の長さやらを考えたら、彼女はお姉さんたちの1.2倍くらい泳いでいることになりはしないか。
しかし、すごいのはそれだけではなかった。
なんでも彼女の名前は《月》と書いて「るな」って読ませるらしい。
がーん!
私らが小学生のころ、森山加代子という歌手が
♫ チンタレラ・ディ・ルッナッ
などといきなり歌いはじめる歌が流行ったことがあったが、あれはたしか「月影のナポリ」とかいう題名だったような。
それにしても、日本の名前もそこまで進みましたか。
そういえば、昨日は男子で《騎士》と書いて「ないと」と読ませる選手も出ておりました。
うーん。
ってことは、私なんぞもこれからは《弘》と書いて「わいど」とか「ぶろーど」とか呼んでもらわねばなりませんな。
ぶろーど・テラニシ。
らいとまん・カツタ。
月も昔の月ではなくなったようです。