四月
行ったり、来たり、
きのうもきょうも、
山のうえを
白い雲が。
行ったり、来たり、
昔のままの
おへやの時計
さびた振子。
行ったり、来たり、
窓の下は
花の祭り。
馬車と人が。
行ったり、来たり、
春の日かげの
母なきへやを
小さい風が
― 西条八十 「春の日」 ―
今日から四月です。
わたしもひさしぶりに「母なきへや」の「小さい風」に吹かれに帰ります。
行ったり、来たりしながら季節はあたたかにやさしい季節に向かっていきます。
いつしかに、ふるさとへの行ったり来たりもずいぶん間遠になりました。