明眼
示に云く、愧(は)づべくんば明眼(みょうがん)の人を愧づべし。
― 懐奘 編 「正法眼蔵随聞記」 (和辻哲郎 校訂)―
もし、批判を気にするなら、それはものを見通す眼のある人のそれでなければならない。
それ以外の批判、評判は何ごとでもない。
明らかな眼を持つ人というのが、誰であるかかはわからなくてよい。
けれども、己が愧づべき明眼の人がこの世にたしかにいることを忘れてはいけない。
すくなくとも、自分の心の中のそれをなくしてはいけない。
慣れたとて自堕落にならぬように。
凱風通信三年目の春である。