中公文庫はダメである。
人の不幸はすべて部屋の中にじっとしていられないことから始まる。
― パスカル 『パンセ』 (前田陽一・由木康 訳) ―
そういえば、昨日引用したマルメラードフとまるで反対のことをパスカルが言っていたなあ、と思って、とりあえず記憶を確かめるべく本を開いたんだが、実はこの本、数年前から、綴じがバラバラになっていてすでに本の態をなしていない。
本を読むというより、旧家の古文書を読むが如し。
これではイライラが先に立ってしまう。
奥付を見ると初版 昭和四十八年十二月十日 とある。
西暦に治すと1973年だからほぼ40年前の本だが、こうなってしまったのは、私が、さほどにこれを愛読したというわけではなく、この『パンセ』に限らず、どういうわけだか、中公文庫というのは年を経るとページがバラバラになってしまうのである。
私の本の扱いがぞんざいであるのは確かだが、ほかの文庫ではこんなことはまったく生じない。
軽い小説ばかりを並べてある文庫ではないくせに、この不見識はどういうことなんだ!
と、あんまりイライラして、そのことばかりに意識が行ってしまって、はじめに書こうとしていたことを忘れてしまったじゃないか!
中公文庫よ、反省しなさい!!
製本ぐらいちゃんとしてくれよ。
(と言うわけで、今日の引用も、実は確認できておらず、私の記憶によってゆがめられている可能性があります)