凱風舎
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ふと思い出した

 

 

 人間はこの世のすべての動物のうちでもっとも猿に近い。

 

 ― リヒテンベルク 『リヒテンベルク先生の控え帖』 (池内紀 編訳)―

 

 

 リヒテンベルク先生は1742年に生まれて1799年に世を去ったドイツの物理学者である。
 彼が亡くなった後にノートが残されていて、そこにたくさんのアフォリズムが書いてあったという。
 上の引用もその中のものである。

 引用したことに別に他意はない。
 もちろん先日ポストに高校の《還暦同窓会》の案内状が入っていたこととは関係がない。
 ましてや、そこに

   ひさしぶりに思い出話に花を咲かせ、
    飲んで食べて唄って
     明日に英気を養いましょう!!

などと書いてあったこととも関係はない。  
 ただ単に思い出しただけだ。

 そういえば、リヒテンベルク先生はこんな言葉も書いている。

 

 英知にとっての最初の一歩。すべてに非を鳴らす。
 最後の一歩。すべてをあきらめる。

 

 そしてこうも書いてある。

 

 意見さえ持たなければ、心はすこぶる平安だ。

 

  いずれも老人の拳拳服膺すべき言葉である。

 この本は平凡社ライブラリーの一冊なのだが、残念ながら今は絶版である。
 出席しないので記念に同窓のみんなに贈ろうかと思ったのだが。