凱風舎
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水村山郭シュキの風

 

 酒は好きだったようである。しばしば断酒の誓いを立てているのがその証拠である。大いに酔った時には腕を組んであぐらに坐り、経史子集のなかの文章を朗誦し、微醺(ほろよい)のときには古文を吟唱した。

       ― 三浦國雄 『朱子伝』 -


 

 夜、子どもたちが帰って、ああ試験も終りだと思わず酒を口にしたら少しく酔って、今日書くつもりだったことをうまく展開できなくなった。
 で、あの謹厳実直のイメージのある朱子学の親玉の朱熹さんも実は酒飲みだったんだぜ、という話を載せてごまかそうと思ったわけだ。
 もちろん、彼が酒好きだったからと言って、私のサボりの言いわけには全くならないんだけどね。

 この『朱子伝』という本、去年の秋だかに読んで、大変おもしろかった記憶があるのだが、その内容で覚えていたのは彼が酒飲みだったということだけというのも相当情けない。
 まあ、人は自分のわかるところしか理解しないということなんでしょうか。

 ちなみに題字の「シュキ」の部分はもちろん「朱熹」ではなく「酒旗」が正解です。
 続くのは
  ナンチョウシヒャクハッシンジ  (南朝四百八十寺)
という、たしか杜牧の絶句。
 結句は
  タショウノロウダイエンウノウチ (多少ノ楼台煙雨ノ中)
です。