おひさま
小さいときおかあさんにきいたことがある。
「みほって、生まれる前はなんだったのかなあ。」
「あら。知らなかったの?」
おかあさんはほんとにびっくりしたみたいな顔をして言った。
「みほは、生まれる前はお日さまだったんだよ。だから、みほがおかあさんのおなかの中にいてくれたとき、おかあさんはいつもとってもあたたかかったのよ。」
わたし、ほんとうにびっくりした。
わたしがお日さまだったなんて!
じゃあ、わたしが生まれる前、お日さまはどこにいたんだろう?
もちろんそのこたえはわからなかったけど、ただ、お日さまだったわたしがおなかのなかで母をあたたかくしてあげていたことをすごく自慢に思った。
小学校に入るぐらいまでかなあ、そのあともかなあ、みほ、ずっと、そのこと信じてたよ。
ぼくの記憶が正しければ、明日は西口奈々子ちゃんのお誕生日!
8歳になるのかな。
というわけで、今夜はナナコちゃん・イブだから吉野弘の「奈々子に」でも載せようかと思ったけど、それは、きみが生まれたとき君のおかあさんに書いてあげたから、もういいよね。
かわりに今日はむかしぼくの生徒だった小薗美穂さんが高校生の時にぼくに話してくれたお話を載せたよ。
今からもう十年以上前に聞いたお話、ノートに書いてあった。
ぼくは男だからわからないけど、奈々ちゃんも、おかあさんのおなかをぽかぽかぽかぽかあったかくしてたことがあったんだよ、きっと。
ところで、お誕生日が日曜日だと、なんだかすごく得した気分になるよね。
どんなプレゼントもらうのかな?
たのしみだね。
みんな、奈々ちゃんのとびっきりの笑顔を見るの、すごくたのしみにしてるから、おかあさんに言って、こっちに写真、送ってもらってね。
じゃあ、奈々ちゃん、一日早いけど、お誕生日おめでとう!
勉強も頑張ってね!