エジプト王ネコ
王ヨシヤは民をうながして荘重な儀式的ベリースにおいてこの法律に義務あらしめようと(中略)したが、真正に古いモーセのトーラーの書の威厳をそなえていると一般に言われていたこの発見物(旧約聖書の中の「申命記」のこと…寺・注)のなかに含まれている命令を履行することによって、パレスティナを通って進軍しつつあるエジプト王ネコに対するヤハウェの援けを得んとするユートピア的希望がその動機をなしていたことは明白である。
ー マックス・ヴェーバー 『古代ユダヤ教』 -
さっき届いた夕刊を見たら、エジプトでムバラク政権が崩壊したと書いてあった。
これは、たぶんたいへんな出来事なんだろうけれど、もちろん私に、エジプトやアラブの歴史や風土、そして現在の社会状況について、通り一遍以上のいかほどの知識もあるはずはないので、何も言えない。
何も言えないけど、そして、今のエジプト情勢に何のかかわりもないけど、私、エジプトに関してあなた方の多くが知らないとてもすばらしいことを一つだけ知っているんです。
昔、エジプトにはネコという王様がいた!
だからどうした!
って言われると、何も言うことはないんですけど、まあ、そういうことです。
何年か前、私、例によって何にも役に立たないことをいろいろ考えてるうちに
西洋の宗教のなんたるかが分かるためには、ユダヤ教がわからないとダメなんじゃないの!
なんて思いつきまして、ユダヤ教関係の本をそこいらの図書館に行ったり自分で買ったりして、ノートなんぞを取りつつ読んでたんですが、その中の一冊『古代ユダヤ教』って本の中の引用したような一節の中に《エジプト王ネコ》という言葉が出てきたたんですな。
この大部な本の中に書いてあったこと、ノートまで取ったのに、いつも通りほとんどすべて忘れてしまったんですけど、ネコという名の王様のことだけは覚えていて、だから、今日の夕刊の見出しを見たとたん
エジプトと言えばネコだべ
なんて思いついて、さっき本棚にある岩波文庫で三冊もある奴をひっくり返していたら、・・・出てきました!
なんでそんなの見つかったかって?
引用した文章のエジプト王ネコってところ太々と赤い傍線がちゃんと引いてあったんですな。
エライ!
どうやら、当時のテラニシ氏は本当に感激してたみたいです。
それにしても、引用の文章全然わけがわかりませんね。書き写した本人がわからなくなっているんですから、もちろん解説はありません。